遺産分割協議書の書き方:不動産・割印・遺言なし対応まとめ
遺産分割協議書の書き方:不動産・割印・遺言なし対応まとめ
遺言書がない場合、故人の不動産を誰かの名義に移すためには「遺産分割協議書」が必要だ。これは相続人全員が「誰がどの財産を引き継ぐか」に合意したことを証明する文書であり、法務局への相続登記や銀行口座の解約手続きで提出が求められる。
専門家でなくても自分で作成できるが、書き方のルールを守らないと法務局や銀行に差し戻される。この記事では、作成上の注意点を具体的に説明する。
遺言書がない場合の遺産分割の流れ
遺言書(有効なもの)がない場合、以下の手順で遺産分割を進める。
- 相続人の確定:戸籍謄本で全員を把握する
- 財産目録の作成:不動産・預貯金・株式・負債をリストアップ
- 遺産分割協議:相続人全員で話し合い、分割方法を決める
- 遺産分割協議書の作成:合意内容を書面にまとめる
- 全員が署名・実印で押印:これで協議書が法的に有効となる
- 各手続きで協議書を使用:不動産登記・銀行解約など
遺産分割協議書の基本的な書き方
必須記載事項
冒頭の宣言文:「被相続人〇〇(昭和〇年〇月〇日生・令和〇年〇月〇日死亡・最後の住所:〇〇市〇〇)の遺産について、相続人全員で協議した結果、下記のとおり分割することに合意した。」
各財産の帰属の記載:誰がどの財産を取得するかを明記
末尾の署名・押印:相続人全員の住所・氏名を自書(ワープロ不可)し、実印を押す
日付:全員が署名した日付(または協議が成立した日付)
不動産の書き方:登記事項証明書と一字一句同じに
遺産分割協議書に記載する不動産の情報は、法務局で取得した登記事項証明書(全部事項証明書)の記載と完全に一致させる必要がある。
土地の場合の記載例
(土地)
所 在 〇〇市〇〇町〇丁目
地 番 〇〇番〇〇
地 目 宅地
地 積 150.00㎡
注意点:
- 「〇〇番〇号」ではなく「〇〇番〇」(「号」は不要)
- 「〇〇平方メートル」ではなく「〇〇㎡」(登記簿の表記に合わせる)
- 「〇〇丁目〇〇番〇〇」は住所の「丁目〇〇番地〇〇」と異なる。登記上の「地番」を使う
建物の場合の記載例
(建物)
所 在 〇〇市〇〇町〇丁目〇〇番地〇〇
家屋番号 〇〇番〇〇
種 類 居宅
構 造 木造合金メッキ鋼板葺2階建
床面積 1階 75.00㎡
2階 60.00㎡
建物の「構造」欄の記載も登記簿のものを使う。「木造スレート葺」「木造瓦葺」など細かい文言があるため、省略せずそのまま転記する。
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割印(契印)の押し方
遺産分割協議書が複数ページにわたる場合、ページの連続性(途中でページが差し替えられていないこと)を証明するために「契印(けいいん)」が必要だ。
契印の押し方
A4用紙2枚の場合:1ページ目の右側と2ページ目の左側にまたがる形で、相続人全員の実印を押す。ページの境目に印鑑がかかることで、2枚が連続していることを示す。
ホチキスで閉じた場合:ページをめくりながら毎ページにまたがって契印を押す。
袋とじ(帯封)にした場合:すべてのページをひとまとめにして帯で封をし、封じた部分に契印を1か所押すだけでよい。これが最も手間が少ない。
割印との違い
割印とは、同一文書を複数部作成した場合(例:相続人2名が1通ずつ保管する場合)に、2通を重ねてまたがるように押す印鑑のこと。遺産分割協議書を何部作成するかによって必要になる場合がある。法務局・銀行はそれぞれ原本を要求するため、相続人の人数分+提出先の数だけ同一内容の協議書を複数作成し、全員が各部に署名・実印押印するのが一般的。
預貯金の書き方
銀行口座の解約に使う場合、以下の情報を記載する。
(預貯金)
金融機関名:〇〇銀行〇〇支店
種 別:普通預金
口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
名義人:〇〇 〇〇
上記預貯金は、〇〇〇〇(氏名)が取得する。
ゆうちょ銀行の場合は「記号番号」(記号5桁・番号8桁)を記載する。
よくある書き方ミスと差し戻し事例
ミス1:不動産の地番を住所で書いてしまう 住所「〇〇市〇〇町1-2-3」と地番「〇〇市〇〇町1丁目2番3」は異なる場合が多い。登記事項証明書で地番を確認する。
ミス2:相続人の自書部分をワープロにしてしまう 署名は本人の自書(手書き)でなければならない。氏名と住所を手書きで記入した上で実印を押す。
ミス3:実印ではなく認印を押してしまう 遺産分割協議書には実印が必要。印鑑証明書と対照できる実印でなければ、法務局・銀行から受け付けてもらえない。
ミス4:協議書に書いた内容と実際の登記が一致しない 「〇〇市の土地一切」といった曖昧な表現ではなく、取得する財産を一つひとつ具体的に記載する。
相続人が多い場合・未成年がいる場合
相続人の中に18歳未満の未成年者がいて、その親権者(父または母)も同じ相続の当事者である場合、親が子の代理人として署名押印することは「利益相反」として法律上禁止されている。この場合、家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」をし、裁判所が選任した第三者(叔父叔母・弁護士・司法書士など)が未成年者を代理して協議書に調印する。
まとめ
- 遺言書がない場合、相続人全員の合意が必要。一人でも欠けると手続きが進まない
- 不動産の表記は登記事項証明書と一字一句同じにする
- 複数ページにわたる場合は契印(袋とじなら1か所)が必要
- 署名は自書、押印は実印
- 未成年の相続人がいる場合は特別代理人の選任が必要
遺産分割協議書の作成に使えるWordテンプレートと、不動産・預貯金・株式ごとの記載例を相続手続きガイド — 日本の遺産整理にまとめている。法務局・銀行どちらにも対応した書式で、穴埋めするだけで完成できるよう設計した。
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