遺言書がない場合の不動産相続 — 遺産分割協議書の書き方と契印・割印
遺言書がない場合の不動産相続 — 遺産分割協議書の書き方と契印・割印
故人が遺言書を残していない場合、不動産の名義変更には「遺産分割協議書」の作成が必須となる。相続人全員の合意内容を書面にまとめ、全員が実印で署名押印する。この協議書に不備があると法務局での登記が却下されるため、書き方のルールを正確に把握しておく必要がある。
遺産分割協議書の基本構成
協議書には決まった書式はないが、法務局が受理するためには以下の要素が必要だ。
- 「遺産分割協議書」の表題
- 被相続人の氏名・最後の住所・死亡年月日
- 各相続人が取得する財産の具体的な内容
- 「上記のとおり遺産分割協議が成立したことを証するため、本書を○通作成し、各自1通を保有する」旨の文言
- 作成年月日
- 相続人全員の住所・氏名(自署)・実印の押印
不動産の表記ルール
不動産の記載は、登記事項証明書の内容と一字一句違わず正確に転記しなければならない。
土地の場合:
所 在 東京都○○区○○一丁目
地 番 ○番○
地 目 宅地
地 積 ○○.○○平方メートル
建物の場合:
所 在 東京都○○区○○一丁目○番地○
家屋番号 ○番○
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階 ○○.○○平方メートル
2階 ○○.○○平方メートル
「平方メートル」を「㎡」と略記したり、地番の表記を住所表記と混同したりすると、法務局で差し戻される。
契印と割印の違い
契印(けいいん):協議書が2枚以上になる場合、ページのつなぎ目に押す印鑑。全ページが一体の文書であることを証明する。相続人全員の実印で押す必要がある。
具体的には、1枚目と2枚目の境目に、両方のページにまたがるように押印する。ホチキスで綴じた後、見開きの状態で押すのが一般的だ。
割印(わりいん):同一内容の文書を複数部作成した場合、各部をずらして重ね合わせ、境界に押す印鑑。「この複数の書類は同じ内容である」ことを証明する。
協議書は相続人の人数分を作成し、各自が1通ずつ保有するのが原則だ。金融機関や法務局に提出用として追加で作成する場合は、原本還付の手続きを利用すれば1通で足りることもある。
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協議書作成時の注意点
全員の合意が必要:1人でも反対する相続人がいれば協議は成立しない。合意できない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる。
未成年の相続人がいる場合:親権者と未成年の子が共同相続人の場合、利益相反のため親は子の代理ができない。家庭裁判所で「特別代理人」を選任し、代理人が子に代わって署名押印する。
印鑑証明書の添付:協議書に押印した実印が本人のものであることを証明するため、相続人全員の印鑑登録証明書を添付する。発行から6ヶ月以内のものを求められるのが一般的だ。
遺産分割協議書の作成から相続登記の申請まで、不動産相続の全手順は相続手続きガイドで確認できる。
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