固定資産評価証明書の取り方:相続登記に必要な理由と入手手順
固定資産評価証明書の取り方:相続登記に必要な理由と入手手順
相続登記(不動産の名義変更)を申請する際、必ず必要になる書類の一つが「固定資産評価証明書」だ。「固定資産税の課税通知書は毎年届いているが、評価証明書とは違うのか?」という疑問を持つ人も多い。この記事では、固定資産評価証明書が何のために必要で、どこでどう入手するかを解説する。
固定資産評価証明書が相続登記に必要な理由
固定資産評価証明書は、相続登記の申請に際して支払う「登録免許税」の計算に使う書類だ。
登録免許税の計算式:
登録免許税 = 固定資産税評価額(1,000円未満切り捨て)× 0.4%
固定資産税評価額は、毎年6月ごろに郵送される「固定資産税・都市計画税の納税通知書」に記載されているが、法務局への申請には「公的な証明書」として発行された固定資産評価証明書が必要で、納税通知書では代用できない。
固定資産評価証明書と納税通知書の違い
| 項目 | 固定資産評価証明書 | 固定資産税納税通知書 |
|---|---|---|
| 発行元 | 不動産所在地の市区町村 | 不動産所在地の市区町村 |
| 法務局での使用 | 使用できる | 使用できない |
| 取得方法 | 役場窓口または郵送申請 | 毎年自動送付 |
| 費用 | 300〜400円程度(1通) | 無料 |
取得場所と窓口
固定資産評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場の税務課(固定資産税担当)で発行される。
都市部(東京23区など)では都税事務所が担当する場合もある。不動産の所在地と申請者の住所が異なる場合でも、不動産のある市区町村に請求する。
窓口で請求する場合の必要書類
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 固定資産評価証明書交付申請書(窓口に備え付けがある)
- 手数料(300〜400円程度、自治体によって異なる)
相続人が故人(被相続人)名義の不動産の評価証明書を請求する場合、相続関係を示す書類(戸籍謄本など)の提示を求められることがある。事前に電話で確認するとスムーズ。
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郵送で請求する方法
不動産が遠方にある場合は郵送でも取得できる。
郵送請求に必要なもの
- 固定資産評価証明書交付申請書(市区町村HPからダウンロード)
- 本人確認書類のコピー(運転免許証等)
- 相続関係を示す書類のコピー(死亡後の場合は相続人であることが分かる戸籍謄本のコピー)
- 手数料分の定額小為替(郵便局で購入。1枚につき発行手数料200円)
- 返信用封筒(切手を貼り、返送先を記入)
申請書の「交付を希望する物件」欄には、登記事項証明書に記載された「所在・地番」(土地)または「所在・家屋番号」(建物)を正確に記入する。
年度の取り扱いに要注意
固定資産税評価額は毎年4月1日に更新される。登録免許税の計算には「登記申請を行う年度(4月1日現在)の評価額」を使う必要がある。
注意が必要なケース:昨年(前年度)取得した評価証明書を使って計算した場合、今年4月1日以降に評価額が改定されているにもかかわらず古い金額で申請してしまい、差し戻される。
実務上のタイミングでいうと:
- 1月〜3月に申請する場合:当該年度(前年4月1日現在)の評価証明書を使用
- 4月〜12月に申請する場合:当該年度(4月1日現在)の評価証明書を使用
4月に新年度の評価証明書に切り替わるため、3月末に取得した証明書で4月以降に申請しようとすると年度が合わなくなる。
固定資産評価証明書に記載されている内容
- 土地・建物の所在・地番・地目・地積(または家屋番号・種類・構造・床面積)
- 固定資産税評価額(価格)
- 課税標準額
登記申請に使う金額は「価格(固定資産税評価額)」であり、「課税標準額」ではない点に注意。課税標準額は住宅の特例などで価格より低く設定されていることがある。登録免許税の計算には必ず「価格」を使う。
名寄帳との併用で登記漏れを防ぐ
固定資産評価証明書は、申請書に指定した物件の評価額しか記載されない。一方、「名寄帳(なよせちょう)」は同一市区町村内で故人が所有していたすべての不動産を一覧で示す帳票だ。
名寄帳を先に取得することで、固定資産税が非課税の私道(共有持分)や、評価額が低い農地・山林など、うっかり登記を忘れがちな物件を事前に把握できる。後から「この私道も相続登記が必要だった」と発覚すると、過料や追加の手続き費用が発生する。
推奨手順:
- まず名寄帳を取得して全物件を把握する
- 全物件分の固定資産評価証明書を一括で申請する
- 評価額の合算から登録免許税を計算する
登録免許税の計算例
土地(評価額1,200万円)と建物(評価額300万円)を相続する場合:
土地:12,000,000円(1,000円未満切り捨て後)× 0.4% = 48,000円
建物:3,000,000円 × 0.4% = 12,000円
合計:60,000円
100万円以下の土地については免税措置(2027年3月31日まで)があり、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載することで、その土地分の登録免許税がゼロになる。
まとめ
- 固定資産評価証明書は不動産所在地の市区町村役場の税務課で取得する
- 窓口・郵送どちらでも取得できる(手数料300〜400円/通)
- 登記申請年度(4月1日現在)の証明書を使う。古い年度は差し戻しの原因になる
- 登録免許税の計算には「価格(評価額)」を使う。「課税標準額」ではない
- 先に名寄帳で全不動産を把握してから証明書を取得すると登記漏れを防げる
相続登記の手続き全体の流れ、申請書の記載例、登録免許税自動計算シートについては相続手続きガイド — 日本の遺産整理に収録している。
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