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任意後見契約のやり方|費用・手続きの流れ・法定後見との違い

「認知症になったら、自分の財産管理は誰がやるのか」——この不安に対する答えの一つが任意後見契約です。判断能力が十分あるうちに、将来の後見人を自分で選んで契約しておく制度で、法定後見制度とは性質がまったく異なります。

この記事では、任意後見契約の仕組み、手続きの流れ、かかる費用を解説します。

任意後見契約と法定後見の違い

法定後見制度は、すでに判断能力が低下した後に、家族が家庭裁判所に申し立てて後見人を選任してもらう制度です。裁判所が後見人を決めるため、必ずしも本人や家族の希望通りの人物が選ばれるとは限りません。

一方、任意後見契約は判断能力がしっかりしている段階で、自分自身で「この人に任せたい」という後見人(任意後見受任者)を選び、「何を任せるか」の範囲も自分で決めて契約します。

比較項目 任意後見 法定後見
契約のタイミング 判断能力があるうちに 判断能力が低下した後
後見人の選び方 本人が自由に選ぶ 家庭裁判所が選任
代理権の範囲 契約で自由に設定 裁判所が決定
取消権 なし あり

手続きの流れ(5ステップ)

ステップ1:任意後見受任者を決める

信頼できる親族、友人、弁護士、司法書士、社会福祉士などから選びます。法人(社会福祉法人やNPO等)を選ぶことも可能です。

ステップ2:契約内容を話し合う

後見人に委任する事務の範囲を具体的に決めます。一般的な委任事項は以下の通りです。

  • 預貯金の管理・引き出し
  • 不動産の管理・売却
  • 入院・施設入所の契約
  • 保険金の請求
  • 税務申告の手続き

「不動産の売却だけは除く」「月額の生活費引き出しは○万円まで」など、細かく範囲を限定できるのが任意後見契約の強みです。

ステップ3:公正証書で契約を締結

任意後見契約は法律上、必ず公正証書で作成しなければなりません(任意後見契約に関する法律第3条)。最寄りの公証役場に予約し、本人と受任者が一緒に出向いて契約を結びます。

ステップ4:法務局に登記

公証人が契約内容を東京法務局に嘱託登記します。この手続きは公証役場側が行うため、本人が法務局に行く必要はありません。

ステップ5:判断能力低下時に「発効」

実際に判断能力が低下した段階で、本人・配偶者・四親等内の親族・受任者のいずれかが家庭裁判所に「任意後見監督人の選任」を申し立てます。監督人が選任されて初めて任意後見契約が発効し、後見人が代理権を行使できるようになります。

費用の目安

項目 金額
公正証書の作成手数料 11,000円
法務局への登記嘱託手数料 1,400円
登記に必要な収入印紙 2,600円
合計 約15,000円

専門家(弁護士や司法書士)に契約書の起案を依頼する場合は、別途5万〜15万円程度の報酬が発生します。契約発効後の後見人報酬は月額2万〜5万円が相場で、これは本人の財産から支出されます。

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契約時に注意すべきこと

見守り契約の併設を検討する: 任意後見契約は判断能力が低下するまで発効しません。しかし「いつ判断能力が低下したか」を誰がどう判断するのかが問題になります。定期的に受任者が本人の様子を確認する「見守り契約」を任意後見契約と同時に結んでおくと、能力低下の兆候を早期に察知して適切なタイミングで発効手続きに移れます。

財産管理委任契約との違いに注意: 判断能力が低下する「前」から財産管理を任せたい場合は、任意後見契約とは別に「財産管理委任契約(任意代理契約)」を結ぶ必要があります。この2つをセットで締結するケースが実務上は多く、公正証書も1通にまとめて作成できます。

任意後見契約は、終活の中でも「判断能力があるうちにしかできない」手続きの代表格です。終活全体の手続きを体系的に進めたい方は、終活の総合ガイドをご活用ください。

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